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令和7年5月9日(金)

立夏に食べたい!新じゃがの魅力
――歴史も味も奥深い、初夏の恵み


立夏を過ぎ、いよいよ季節は本格的な初夏へと移り変わりました。桐生の町にも、青空とともに若葉がまぶしく揺れ、野菜売り場には初夏の恵みが次々と顔を見せ始めています。この季節、桐生市場には初夏を感じさせる野菜が出そろい、なかでも注目したいのが、「新じゃが」です。

収穫してすぐ出荷される新じゃがは、皮が薄くみずみずしいのが特長。サラダや煮物、揚げ物など、どんな料理にも合う万能野菜ですが、実はこのじゃがいも、日本と深いつながりがあることをご存じでしょうか?

じゃがいもと日本人の歴史――南蛮貿易から庶民の食卓へ

じゃがいもが日本に伝わったのは江戸時代初期のこと。オランダ人によって インドネシアのジャカルタ(旧名ジャガタラ) から長崎の出島にもたらされ、「ジャガタラいも」と呼ばれたのが名前の由来とされています。

当初は観賞用や薬用として扱われていましたが、享保の大飢饉(1732年)以降、幕府もその栄養価に注目し、救荒作物として栽培が奨励されるようになります。

特に薩摩藩の島津重豪や、青森の津軽為信といった大名たちが栽培を奨励し、寒冷地でも育つ作物として普及が進みました。

明治時代には北海道開拓の一環として、じゃがいもが本格的に栽培されるようになります。開拓使の初代長官・黒田清隆は、アメリカ式農法を取り入れるなかでじゃがいもの生産性に着目し、「国産化の柱」として推進。やがて、ビタミンCを含む健康野菜として、全国の家庭に広がっていきました。



いまが旬!桐生市場の新じゃが

桐生市場では、鹿児島産の新じゃがが一足早く出回り始めています。群馬・長野・栃木などの近県産は、霜の心配がなくなる5月中旬以降から本格的に出荷が始まりますが、それに先駆けて南国・鹿児島から届いた新じゃがが、ひと足早い初夏の味として並んでいます。

皮が薄く、みずみずしさと甘みが特長の鹿児島産は、煮物・炒め物・揚げ物とどんな調理にも合い、忙しいご家庭やお子さまと一緒のクッキングにもおすすめです。

また桐生市場では、毎年この時期に「食のプロ」による目利きと品定めが恒例行事となっており、質の良い新じゃがが厳選されています。信頼できる“旬”を、どうぞ食卓でご体感ください。

新じゃがレシピ ― 初夏の手作りを楽しむ

🥔 新じゃがとそら豆の味噌バター炒め

材料(2〜3人分)

  • 新じゃが:3〜4個
  • そら豆:10さや分
  • 味噌:大さじ1
  • バター:10g
  • みりん:大さじ1
  • ごま:少々

作り方

  1. 新じゃがは皮ごとよく洗い、一口大にカット。ラップしてレンジで3〜4分加熱。
  2. フライパンにバターを熱し、新じゃがを炒める。
  3. そら豆を加え、味噌とみりんで調味。
  4. ごまをふって風味よく仕上げる。

★バターと味噌の香ばしさが食欲をそそる、初夏にぴったりの一品です。

親子で楽しむ“じゃがいもクッキング”のすすめ

じゃがいもは、切る・茹でる・潰す・丸めるなど、工程が豊富で子どもと一緒に料理するのに最適な食材です。市場で旬の野菜を選び、家で一緒に手を動かす時間は、料理のスキルだけでなく、季節を味わう感覚や食育にもつながります。

さらに、じゃがいもは日持ちもよく、常備菜にも便利。調理次第で和・洋・中と幅広いアレンジができ、食卓を彩ってくれます。

立夏の知恵を現代に ―「季節を食べる」暮らしをもう一度

私たちの祖先は、季節の節目ごとに自然の恵みを尊び、食卓や行事を通して命の巡りを感じてきました。新じゃがもまた、そうした旬の命をいただく喜びの象徴です。

桐生市場では、この時期ならではの旬野菜や食材を多数取り揃えて、皆さまのご来場をお待ちしております。立夏の陽気に誘われて、ぜひご家族で市場に足を運んでみてください。

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